占い

2009年3月4日 日常
最近お気に入りの三津田信三を二冊借りて図書館を出る。自販機でコーヒーを買って、忘れ去られたようなベンチに座る。僕はコーヒーを飲みながら、道行く人たちを眺めた。街灯の下をコートの襟を立て急ぎ足で行き交う人の流れ。タバコの吸殻を投げ捨てるサラリーマン。そこらじゅうにタンを吐く老人。ベンチにいる僕の存在など気づかないように誰もが帰宅を急ぐ。

僕はコーヒーを飲み干すと夜の道を歩いた。から松の葉をぬけて、誰が捨てたかわからない粗大ごみの横を通って、夜でもやかましく鳴くカラスの下を歩いた。アパートの前に着いたとき空を見上げた。空はどんよりとした雲に覆われ星ひとつない。また雨が降るんだろうな。

正月の初め、明治神宮から表参道の交差点に向かったところで、僕は占い師に手相をみてもらったことがある。占いで毎日の行動を変える彼女の強い要望があって、一度一緒に行こうと誘われていたのだ。

占い師は僕の左手のひらを両手で掴んで「あなたの身に、よくないものがとり憑いているようにみえます。くれぐれも注意なさってください」そう、占い師は言った。何より大切なのは、他者を思いやる心である。占い師だからといって、唐突にそんなことを言って許されるのだろうか。お金を払って不吉なことを言われて、まいったな、と思いながら、いつしか僕の心は深く暗い海の底に沈んでいった。

僕は宗教とか占いとか信じないけれど、それでも気持ち悪いことを言われると気になって、その夜は眠れなかった。

だけど、いつかそんなことも忘れていたころ、僕のまわりで不思議なことが起きた。

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