大きく4つの話に分かれていて
どの話も面白かった。

元捜査一課の刑事だった勘を頼りに、
胸のすくハードボイルド的な活躍をする。
冷酷非情ではないが。
人情のある探偵だ。

特に最後のCARRY ONは読み応えがあった。
盗まれた宝石を探してという女性弁護士の依頼を受けた麻生。
その宝石を探しているうちに新たな事件に巻き込まれていく。
事件が事件を呼ぶみたいな感じ。

これは警察小説シリーズになっているらしい。
いきなりこの本を読んだので、
麻生龍太郎とヤクザ山内錬の関係がちんぷんかんぷん。
でも、これだけで楽しめる小説だ。

「ゲレンデにタイマーのついた爆発物をしかけた。三日以内に三千万円を用意しろ」という脅迫メールがスキー場のホームページに送られてきた。会社の上層部はスキー場をクローズせず、警察に通報せず、犯人とパトロール隊との攻防戦がはじまる。

犯人は誰なのか。ゲレンデの下にある爆弾は爆破されてしまうのか。読み始めると次から次と読みたくなる。それなのに最後の結末は残念なことに、なーんだと思った。たぶんそうなのかなと思ったら正解だったのでがっかり。

あまりスキーをしたことがないけれどスキー場を舞台にした情景がよくわかって楽しめた。本格的ミステリーとしては初期作品の方が面白いので期待しないで読んでほしい。

万寿子さんの庭

2010年8月10日 読書
初めて黒野伸一さんの本を読んだ。主人公の京子が引越しをした先で隣人の万寿子おばあちゃんに出会う。万寿子に挨拶をするたびに、寄り目とかブスとかバカとか信じられない言葉を言われてしまう京子。しだいに少しずつ打ち解けて仲良くなるのだが、万寿子に認知症が現れる。

読み進めていくうちに作者は女性なのかと思ってしまうほど女性の心理描写がうまい。京子が認知症の万寿子を面倒をみるところは、まあ、現実にはないかなと思いながら、ユーモアのある作品だった。
また料理を作ろうかな。高山なおみさんの本を手に、食材が少なくて簡単に作れるのがいいな、と考えながらパラパラページをめくる。あんかけロールキャベツが食べたいな。でも、結構面倒くさそう。高山さんはナンプラを入れるのを好むからね。んー、親子丼もいいなー。お、せん切りじゃがいものお焼きだって。じゃがいもとベーコンがあれば作れるぞ。

ふむ、じゃがいものお焼きっておかずになるのか?お好み焼きみたいなもんじゃないのか。これ単品で食べた方がよさそう。そうするとロールキャベツか。しかし、この本の写真、器に凝っているなー。どの器も高そうだ。

高山さんの本を本棚にしまって、飯島奈美さんの本をとり出す。ほとんど作っちゃたんだよ。この本。まだ作ってないのは、ちらし寿司、おはぎ、豚汁、グラタンくらい。うむむ、やっぱりロールキャベツかな。つまらないことで悩んでいる。

オカンの嫁入り

2010年6月1日 読書
大阪弁が読みづらくて最後まで読めるかな。主人公の月ちゃんと母親や捨て男などがユーモア的に描かれて、先を読ませられた。いや、面白い本だと思っていたところ、最後にがつんとやられてしまった。

幸せなとき、必ず不幸が裏側に潜んで、隙あらば幸せを奪おうと待ち構えている。油断してはいけない。本の内容とは違うが、そんなことを思った。

お、これ、映画になってるんだ。へえー、知らなかった。
大竹しのぶと宮崎あおいか。僕のイメージなら高島礼子なんだけどなー。
まず祈祷師の一家が複雑である。父と母は実の兄弟で、二人の娘のうち、高校生の和花は母の実の娘だ。中学生の春永は家族の誰とも血がつながっていない。

春永が生まれたときに実の父親は死んだ。母親は再婚して娘の春永を祈祷師に託した。祈祷師の母は八年前に死んだお婆ちゃんのあとを継いで二代目の祈祷師になった。父も姉の和花も不思議な力をもっている。けれどもヒロインの春永は母の仕事を手伝うが、その力がない。

ある夏休み、春永が誰もいない家で昼寝をしているとき、お祓いをしてもらいに十歳の子供が母親に連れられてきた。白目を剥いて涎をたらして暴れる子供に、懸命になって春永はお題目を唱えた。けれど子供は暴れ続けた。

そこに両親が戻ってきて、そのお祓いによって子供は元に戻った。春永は自分がなんの力も持っていないことを知った。両親や姉の持つ力が自分だけ備わっていない。霊が見えたりすると、世間では気持ち悪いとか化け物と言われる。祈祷師の娘として育った春永は祈祷師になりたかった。化け物になりたかった。

霊にとり憑かれた人の霊を祓うのが祈祷師。まわりには霊がわんさかといて、その霊が優しくて純粋な人にとり憑くらしい。そういわれても、僕は自分の目で見ることができないので、どうしても信じることができない。見えないものでも存在することがあるとわかっていても。

母が再婚していなくなったときのことを知った春永に、お婆ちゃんが優しく語りかける言葉が印象的だ。


「お母さんいっちゃったなあ」
わたしはうなずいた。その瞬間、涙がどっとあふれてきた。わたしは声を出さずに泣いた。おばあちゃんはそんなわたしを見下ろしながら、静かに、まるでひとりごとのようにつぶやいた。
「けどもな、人間っていうものはけっきょくひとりで生きでいぐもんだかんな、いつかはひとりになるときがくんだよ。そう思ったら春永だって、いまからがんばって生きていけっぺ?」
わたしはおばあちゃんの顔を見上げた。おばあちゃんはぶよぶよの指先でわたしの涙を拭ってくれた。
「ほら、いまここにきてるひとらはな、みんなひとりぼっちでいぎてんだぞ。春永が思いもつかねえぐれえ。それこそ考えられねえぐれえなげえじかんを」
わたしはもう一度座敷を見回した。一枚一枚のざぶとんの上にひとりひとりがすわって、こちらを見ているように思えた。そのひとたちがわたしをなぐさめてくれているように思えた。

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索