増殖

2009年3月16日 日常 コメント (2)
仕事が休みなので、本を読んだりネットをしたり。DiaryNoteのランダムジャンプは楽しい。ぴよんと跳んで沢山の日記を読んだ。またお気に入りに登録しよう。

今日の夕飯はカレーライスを作ろう。玉葱は3つにしようかな。じゃがいもは別の鍋で茹でよう。2つめの玉葱を切り終えて、3つ目の玉葱を切ろうとしたときに電話がかかってきた。手が離せないときに用事は増えるものだ。僕は台所で手を洗って、居間の受話器をとった。

「あ、オレ。今日さ、ランドリーの帰りに乳母車を押したおばあちゃんに会ったんだけど」
藤木だった。藤木は僕の2年先輩だ。うん、それで、と僕は先を急がせた。
「それがさ、乳母車を押したおばあちゃんと、数百メートル先の場所で、もう一度会ったんだよ。バイクと同じ速さで移動したことになるけど。不思議だよね」
意味がよく解らなかった。
「それって、よく似た人がふたりいたということ?」
僕はまな板の玉葱を早く切りたい衝動にかられる。
「そう言うと思ったよ。でも同じおばあちゃんだよ。自分の方に2回とも振り向いて、そのときにちゃんと顔を確認してるからね」
「マジ。だって藤木くん、バイクに乗ってたんでしょ。そしたら乳母車を押して歩くおばあちゃんの方が遅いよね」
「うん。だから不思議だなぁって」
「あり得ない。よく似てただけよ」
「まったく。話にならないや。そんなことを言っていると、怖い経験をするかもよ。自分には関係ないけどね」
「あっ、そ、じゃあね」
なんだか僕はバカバカしくなって電話を切った。台所に戻り玉葱を切って、人参と豚肉と玉葱を鍋で炒め、それから水を入れた。

話にならない?それは君の方だろ。同じ人がふたりいるわけないじゃない。どうしても同じ人だというなら、それはドッペルゲンガー。それは幽霊。彼は霊感が強いと言っていたから幽霊をみたのか。人類が誕生してこれまで死んでいった数え切れない人間の霊がうじゃうじゃいるのか。いやだな。

カレーができたころ、窓の外は真っ暗になっていた。日が暮れると、辺りはすぐに闇につつまれる。風があるようで樹の葉が揺れている。たったひとつの外灯に映った葉の影がうごめく。ときおり、転がるライトの光があやしく窓を照らす。僕は台所のイスに腰かけて、ぼんやりと窓の光を眺めていた。

すると遠くから猫の鳴く声が聞こえた。きっと捨てられたシャム猫だ。シャム猫がアパートの空き地を散歩しているのを見かけたことがある。鳴き声は風とともに増殖し、複数の猫が鳴いているように聞こえた。

コメント

キーコ
2009年3月16日21:24

こんばんは。
リンクありがとうございます。
自分の日記書くときにご挨拶しようと思ったんですが、
自分の日記、なかなか更新できてないのでおじゃましちゃいました!

かくの
2009年3月16日21:36

こちらこそ。
キーコさん、勝手にリンクしてしまってすみません。

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