海辺の方向に丸いガラスのドームが見えて、更にその向こうには観覧車が見えた。道の両わきで揺れる木々の緑。白い息。潮の匂い。何もかも呼吸みたいに静かだった。空を見る。東の薄暗い雲から、ほのかな明るさが漂う。

僕は松ちゃんと別れて公園の中に入った。ドームの横を通ってまっすぐ行って海岸に出た。砂浜を安全靴で歩いた。僕はいつも安全靴を履いている。運動靴のように軽い靴は足が上がり過ぎてしまう。とても不恰好で、デューク更家のような歩き方になってしまうのだ。

足元の砂が逃げて歩きにくい。砂は波の白い泡で敷きつめられている。靴が波に濡れそうになり、慌てて後ろにさがって腰を下ろした。東京湾だ。遠くに、化学工業、火力発電所、石油コンビナートの工場の煙突が林立して、工場の灯りが輝いている。やがて雲の間から柔らかい陽が射して、僕の体を包む。目に映る何もかもが朝をたたえていた。海は真っ白に光って、まぶしすぎて光のかたまりのように見えた。僕も光になって空気に溶けてしまいそう。とても優しい気持ちになれた。

コメント

ラクス
2009年3月18日18:45

はじめまして^^

とても不思議な空気が流れる日記ですね。
思わず引き込まれてしまいました。

かくの
2009年3月18日19:18

はじめまして、ラクスさん。
日記の感想をありがとうございます。
また、遊びにいらしてください。

蜜桃
2009年3月18日22:18

はじめまして。
リンクありがとうございました。
タイトルの背景写真、すてきですね。
どうぞよろしくおねがいします。

かくの
2009年3月18日22:24

はじめまして、蜜柑さん。
背景、僕も気に入ってます。
こちらこそよろしくおねがいします。

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