なか卯

2009年3月21日 日常
なか卯に行ったことがないと彼女が言うので、近くのなか卯に行くことにした。勿論、僕も行ったことがない。全国に400店舗を誇る和風ファーストフードで値段が安いらしい。

店内は立ち食い蕎麦屋に似ていて自販機で食券を買うようになっていた。「どれがいいかな。僕は海老かきあげがいいな。君は?」とか言って自販機のボタンを押すと、店内に「海老かきあげ!」というアナウンスが流れて、ちょっと驚いた。作る人は食券と声の両方でわかるので便利だけど、何を食べるのか他人にわかってしまう。

僕と彼女は海老かきあげうどんを食べた。味つけは関西風でうどんがぷるぷるしている。かきあげが揚げ過ぎかなと彼女は言いながら、それを半分ほど齧りついた。

外に出ると、太陽が西の空に吸い込まれていくところだった。赤く膨らんだ太陽は大きくて不気味だった。地球のどこかで戦争や災害が繰り返され命が死んでいくこと。赤ちゃんが誕生しようとしていること。一瞬の命を、1億5千万キロの彼方から見つめる太陽。

太陽から視線を彼女に移すと、逆光での姿がのっぺらぼうのようだった。街も道路も建物も色を失くしていた。何もかも現実味がなかった。それを見ている自分も、自分ではなくて他人のような気がした。歩いているうちに太陽は沈んで、ほのかに明るい夕空に星が静かに瞬いた。

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