風情だなー、と寂しげな雨の音を聴いていたが、ザァーザァーと雨が強くなり、風情どころか、屋根の叩く音が騒がしくなって、イヤホンでラジオを聴いていた。FM東京のジェットストリームが終わって、ごろごろと布団の上に転がっていて、ふと、枕元の時計を見れば、もう二時を過ぎている。

そういえば、夜勤のとき増えた体重、そのまま減らないな、とか考えているうちに、布団からむっくり起き出してネット検索すると、八木式ダイエットというブログがあった。読んでみると、イメージトレーニングとか、朝昼はちゃんと食べて夜は控えめにとか、すぐに実行できそうなことが書かれていた。でも、全身鏡を購入するのは無理、置くところないし。呼吸のリズムを変えるだけで代謝がよくなる方法か。ふうん、仕事中にも活用できるじゃん。

うんうん、肯いていると、白々と夜が明けてしまった。雨戸を開けると、その数を増やしていくように雨の音が大きくなった。ぼやけた明るさの中で、ブイヨンの気持ちという写真集を眺めたり、トマトジュースと乳酸飲料を飲んだりしていた。

雨具を身に着けるとバイクに跨った。雨の日は危険だ。シールドが雨に覆われ視界は妨げられるし、タイヤはカーブで滑りやすい。僕はゆっくりと走行した。現場に着き、仕度をしていると藤木がやってきた。

「ようやく買ったんだね」
新しい雨具を着ている彼は、「通販で3千円だった」と、うれしそうに言った。
「いいね、これで、濡れないね。」
彼は遠い目をして「いやだ」と呟いた。
----雨の日はつらいよね。

いつまでも薄暗いまま、藤木は何度目かのくしゃみをした。このまま梅雨になるんだろうか。農家の紫陽花が色も鮮やかに咲いている。紫陽花に近づいて、何気なく水田を眺めると、溜まった水の中に奇妙な生き物が生息していた。どう見てもエビのようだが、おかしなことに、足のようなものをひらひらさせて逆さになって泳ぐ。あまりに不思議なので近所のおじさんに訊いてみた。サカサエビ、ホウネンエビというそうだ。このエビがいると豊作間違いないそうだ。

しとしと濡れてぼんやりした灰色の街。いつしか鉛色の闇につつまれ、雨は止んでいた。

はかなく日過ぎて 紫陽花咲く はだ寒き夕暮れ。

コメント

ラクス
2009年5月29日21:09

【かくのさ~ん】

おー(@@)ホウネンエビを目撃できたとは珍しいねぇ~
最近は農薬散布で激減してるんだぉ~
私がアクアネタで良く名前をあげてる「ブラインシュリンプ」と同じ仲間
なんだよ~(と、意味もなくウンチコを述べてみた)

かくの
2009年5月29日21:13

えー、そうなんだ。
すると、そこの農家はあまり農薬をつかってないんだね。
それじゃ、ホウネンエビを捕らえて魚のえさにできるね、って、
考えることが貧弱だ。

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