あー、やっぱりな。
雨樋に伝わる雨水を見て、ぼんやりしていると電話が鳴った。
受話器をとった僕の耳に、「もしもし」という山根の声が聞こえてきた。
「だーれだ!」
誰って、もう、声で分かってるし。
「え、山根さんでしょ?」
「な、ははは。元気でっかぁー、いい陽気ですわ」
彼はいつも唐突に連絡してくるのだ。
「うん、そうですね、ええと----」
「ああ、俺、引越すから」
「えっ」
「将来的に家族が三人増えて、七人になりそう。大家族になって、また楽しくなりそうですたい」
「----はっ?」
「その三人の内訳は、家内のおばあちゃん、家内の妹とその息子。合計七人家族ですわ。鎌ヶ谷付近で六部屋ある家がみつかるといいなー」
僕が驚いている間に、彼は笑って、「じゃあ、また会おう」と電話は切れた。
誰がそんなことを予想していただろうか。山根自身も考えていなかったんじゃないか。思わぬ展開に、彼は見栄を張るから、本心で喜んでいるのか心配になった。
三日見ぬ間の桜かな。
待合わせの駅に着くと、僕は額の汗を手の甲でぬぐった。
彼女は小さく「ふん」と鼻をならし、そっぽを向いてしまった。
「そ、それが、出かけようとしたら電話があってさ」
僕は遅れた理由を言って、彼女の顔をのぞき込む。
「なんか、おなか、減っちゃたな」
やっぱり天麩羅、そう彼女は呟いて、天丼てんやの看板に向かって歩き出していた。
客が疎らな昼前の店内に入って、僕も彼女も天麩羅定食を頼んだ。
とてもいい感じの店員と清潔な店内、空気までも違ってる。
ふっくらしたご飯と味噌汁、お新香、焼きなすとおくら、そして、サクッと揚がった天麩羅、「どれも、うまいね」と僕は言う。
彼女は、にかにか笑って頷く。
雨樋に伝わる雨水を見て、ぼんやりしていると電話が鳴った。
受話器をとった僕の耳に、「もしもし」という山根の声が聞こえてきた。
「だーれだ!」
誰って、もう、声で分かってるし。
「え、山根さんでしょ?」
「な、ははは。元気でっかぁー、いい陽気ですわ」
彼はいつも唐突に連絡してくるのだ。
「うん、そうですね、ええと----」
「ああ、俺、引越すから」
「えっ」
「将来的に家族が三人増えて、七人になりそう。大家族になって、また楽しくなりそうですたい」
「----はっ?」
「その三人の内訳は、家内のおばあちゃん、家内の妹とその息子。合計七人家族ですわ。鎌ヶ谷付近で六部屋ある家がみつかるといいなー」
僕が驚いている間に、彼は笑って、「じゃあ、また会おう」と電話は切れた。
誰がそんなことを予想していただろうか。山根自身も考えていなかったんじゃないか。思わぬ展開に、彼は見栄を張るから、本心で喜んでいるのか心配になった。
三日見ぬ間の桜かな。
待合わせの駅に着くと、僕は額の汗を手の甲でぬぐった。
彼女は小さく「ふん」と鼻をならし、そっぽを向いてしまった。
「そ、それが、出かけようとしたら電話があってさ」
僕は遅れた理由を言って、彼女の顔をのぞき込む。
「なんか、おなか、減っちゃたな」
やっぱり天麩羅、そう彼女は呟いて、天丼てんやの看板に向かって歩き出していた。
客が疎らな昼前の店内に入って、僕も彼女も天麩羅定食を頼んだ。
とてもいい感じの店員と清潔な店内、空気までも違ってる。
ふっくらしたご飯と味噌汁、お新香、焼きなすとおくら、そして、サクッと揚がった天麩羅、「どれも、うまいね」と僕は言う。
彼女は、にかにか笑って頷く。
コメント
リンクして下さってありがとう。
最近秘密にせっせと書いてますが
読みますかぁ?
ちょっと怖いですがいいですかぁ?(笑)
こんなおばさんのDNを読んで下さるなんて
素直にうれしいです♪
よろしくお願いしますね。
僕の秘密日記は、ときどき使うくらいです。
la vie en roseさん、全部読ませていただきます。
覚悟はいいですかー。^^
てんや大好き~♪
昔昔、天ぷらって外食では割と高級だったのよ~
あの価格で庶民の味にしてくれたのは最初衝撃だったもん(^^)
私は野菜天丼が好きぃ~♪
てんやができてよかったですよ。
野菜天丼も好きでーす。