マンホール

2009年6月15日日常コメント (2)

近くに新幹線が走る農道に吹きさらしの風が肌寒い。
僕は土がぬかるんでいるところに立って、たまに通る自転車に注意をしながら、鴻巣って何があるんだろうと考えた。うーむ、どうも運転免許センターくらいしか思いつかない。

作業員はタンクのついたトラックを３台止めて、マンホールの中を覗き込んでいる。
雨も降っていないのに、揃って合羽を着てヘルメットをかぶっている。
年配の西が「固まってんじゃねー」と笑う。
「おい、お前、掃除してこい」
空を仰いでいたロックを横目に見て、西が言った。
「えぇ！いつもオレじゃん」
ふくれた顔のまま、茶髪のロックは渋々マンホールの中に潜っていった。
「穴にもぐって掃除してるとさ、たまに酒に酔った心持ちになるんだ。こいつがいけねえ。気がついたら動けなくってさ。このあいだも、これでひとり命を落としたな。ええと、何だっけ、硫化水素、窒素、二酸化炭素だったけなー。なんか、そんなガスが発生するんだよ。だから、こっちは命がけだよ」
「うわー、危険なんですね」
僕は素直に頷きながら言った。
西はマンホールの穴を覗き込みながら、そんなことを僕に教えてくれた。
路上に置いてあるガス検知器と筒状のじゃばら折りたたみ式みたいな道具。それでマンホールに入る前にガスの発生濃度を測定して、ガスを外に放出して作業するんだ。

道路のあちらこちらにあるマンホール。いつも目にしているけれど、僕は気に留めたこともない。マンホールは下水、消火栓、ガス、電話線などがあって、そのマンホールから中を点検するためにある。汚水のマンホールも点検して掃除をするそうだ。
ロックがマンホールからあがってきた後、マンホールの通り道をバキュームで吸い取り、ジェット噴水車で勢いよく洗浄して終わった。

アパートに戻って、ＦＭラジオを流していると、突如、稲妻が閃いた。なんか、爆弾でも落ちたような音だ。それから雨がざあ、ざあ、降ってきた。