いつも僕、部屋の片隅で息を潜めている。
でも、夕暮れになると、辻なんかに徘徊することもあるよ。
辻に仲間がいて、今日は何人の人間を脅かしたとか自慢し合ってる。

あの日も、
夜中に憂鬱な雨が降って、
外に飛び出しちゃった。
それがいけなかったんだ。

辻まで行ったけど、仲間がいない。
つまらないな。
とぼとぼ、
歩くと前方に橋が見えた。
橋の付近まで来たとき、
髪の長いお姉さんが立っていて、
こちらをじっと見てる。

お菊さんかなと思った。
でも、違ったよ。
わたし、きれい?と僕に聞くんだもの。
お菊さんはそんなこと聞かない。

僕、わからないよって答えた。
だって、
大きなマスクをして、
顔が隠れて見えないから。

すると、
マスクをはずして----。
「どう?あたし、きれい」
う…ふぇ…。

僕、
頭を抱えて、しゃがみ込んで、
心の中で、あっちへ行けって叫んだ。

もう、いいかな。
いなくなったかな。
腕から顔を出してのぞくと、
それは、僕をじっと見下ろしていた。

う…うぇ…ふっ……ふぇ…。
僕、怖くて、怖くて、
逃げ出した。

口が耳元まで裂けていたよ。
何だろうあれ…。

妖怪は仲間通しで驚かしちゃいけないルールがあるから。
きっと、あれは人かも。
人って怖い。

【世にも怖い「口裂け女」が南国の宮崎に出没、耳元まで裂けた口でにやっと笑い、小学生を追いかけ回す。学校へ行くのが怖いと登校拒否する子までいる。地元警察では怪女騒動に乗り出したが…】スポーツニッポン1979年5月21日付。

コメント

ラクス
2009年6月24日7:37

【かくの君~♪】

過去にまことしやかに流行った都市伝説は数々あれど
いつの時代も一番の情報源は子供なんですよね(^^)

子供の発想は素晴らしい
素直にそう思う
まだ現実と言うモノの体験の少ない子供が
空想と言う未知なる可能性を総動員して描き出す世界
これは、大人が逆立ちしたってかなわない

かくの君はお子さんの感覚を残した大人(に見える)

かくの
2009年6月24日8:43

おはよー。
雨の日は仕事休み。
すごい降ってるよー。

子供の想像力は凄いねー。
みえないものも見えてしまうんだからね。

男は幼い心をどこかにもっているもんです。

りいふ
りいふ
2009年6月24日9:46

子供の頃のああいった感覚を忘れないでいたい気もします。
むずかしいかなー。

かくの
2009年6月24日10:52

そんなことないですよ。
大人になったからって、別の人格になったりしないもの。

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