人間は生まれたときから運命の人と結ばれているという、赤い糸の伝説を知っているだろうか。
中国が唐と呼ばれていた時代に偉固という人がいた。偉固は宋の街を歩いていた。その晩は満月が輝いて、何かが起こりそうな気配を感じた。満月がどうして不吉な前兆なのか。満月に生命は支配されていることを偉固は知っていたのだろう。ふと前を見ると、袋を背負った老人が分厚い本を読んでいるのを見かけた。そこで偉固は老人に聞いてみた。
「こんな真夜中に、何の本を読んでいるのですか?」
この暗さに文字が読めるのだろうかと偉固は不思議に思った。
「ええ、この本は月夜にしか読めない本なのです。人間の婚姻関係がぎっしりと書かれています。この本を参考に、将来結婚する男女をみつけて、袋に入った赤い糸を片足に結びつけるのが私の仕事なのです」
「そんな馬鹿なことがあるもんですか。それが本当なら証拠をみせてください」偉固は老人を笑った。
「それでは私について来てください」
そう言われた偉固は老人と一緒に街を歩いた。
「ほら、前から歩いてくる、あの女性。あの人があなたの未来の奥さんです」
突然、老人は偉固に告げた。
そう言われた偉固は前方をみた。盲目の老婦人が危なそうに歩いている。
「あのご婦人はおばあちゃんじゃないですか」
「いえ、そうではなくて、あのご婦人が抱いている子があなたの妻になるのです」
「まさか。だって、まだ子供ですよ」
偉固は半信半疑だった。何を思ったか、偉固は老婦人のそばによると、2歳くらいの女の子の額を小刀で少し切った。そして、その夜のことは忘れ去られてしまった。
それから十五年後、偉固は相州の宰相、王泰の娘を妻として迎えることになった。不思議なことに、その娘の額には小さな三日月の痕があった。その傷の由来を娘に尋ねると、それは十五年前、自分につけられた傷だと分かった。
満月の晩に現れる老人、男女の足に赤い糸を結んでいる。その老人の名は月下老人と呼ばれているらしい。満月の晩は散歩をしてみるといい。蒼い杖を片手に、本を読みながら歩いている老人をみつけたら、それは月下老人である。赤い糸の先を訊ねるがいい。きっと老人は教えてくれるだろう。あなたの運命の人を。
中国が唐と呼ばれていた時代に偉固という人がいた。偉固は宋の街を歩いていた。その晩は満月が輝いて、何かが起こりそうな気配を感じた。満月がどうして不吉な前兆なのか。満月に生命は支配されていることを偉固は知っていたのだろう。ふと前を見ると、袋を背負った老人が分厚い本を読んでいるのを見かけた。そこで偉固は老人に聞いてみた。
「こんな真夜中に、何の本を読んでいるのですか?」
この暗さに文字が読めるのだろうかと偉固は不思議に思った。
「ええ、この本は月夜にしか読めない本なのです。人間の婚姻関係がぎっしりと書かれています。この本を参考に、将来結婚する男女をみつけて、袋に入った赤い糸を片足に結びつけるのが私の仕事なのです」
「そんな馬鹿なことがあるもんですか。それが本当なら証拠をみせてください」偉固は老人を笑った。
「それでは私について来てください」
そう言われた偉固は老人と一緒に街を歩いた。
「ほら、前から歩いてくる、あの女性。あの人があなたの未来の奥さんです」
突然、老人は偉固に告げた。
そう言われた偉固は前方をみた。盲目の老婦人が危なそうに歩いている。
「あのご婦人はおばあちゃんじゃないですか」
「いえ、そうではなくて、あのご婦人が抱いている子があなたの妻になるのです」
「まさか。だって、まだ子供ですよ」
偉固は半信半疑だった。何を思ったか、偉固は老婦人のそばによると、2歳くらいの女の子の額を小刀で少し切った。そして、その夜のことは忘れ去られてしまった。
それから十五年後、偉固は相州の宰相、王泰の娘を妻として迎えることになった。不思議なことに、その娘の額には小さな三日月の痕があった。その傷の由来を娘に尋ねると、それは十五年前、自分につけられた傷だと分かった。
満月の晩に現れる老人、男女の足に赤い糸を結んでいる。その老人の名は月下老人と呼ばれているらしい。満月の晩は散歩をしてみるといい。蒼い杖を片手に、本を読みながら歩いている老人をみつけたら、それは月下老人である。赤い糸の先を訊ねるがいい。きっと老人は教えてくれるだろう。あなたの運命の人を。
コメント
...幼女虐待ですよネ(^_^;)
多分、トラウマになりますよ顔の傷ってのは。
つうか「傷モノ」扱いで、かなりいぢめられたんじゃないかなぁ。
話は変わりますが、宮沢りえ主演の「阿修羅城の瞳」のへたれ主人公の必殺技が「赤い糸」で縛るって奴だったと思います♪
偉固は老婦人のそばによると、2歳くらいの女の子の額を小刀で少し切った。
の部分 一人突っ込みしました(笑
「幼児の額を切るんかい!?」
「老婦人は怒らんかったんかい!?」
って(^^;)
赤い糸の話って かくのさんが書いた以外にもどこかに色んな話として伝わってると思うんですね。
そんななか、この話の内容は何か中国っぽいかもって思いました。
話の内容まで覚えてないけど聞いたことがあるようなないような…
あたしは既婚者なのでもう赤い糸はあらへんと思いますけど、ロマンチックでいいですねぇ。
ま、たしかに幼児虐待な気がしないでもないけど(^_^;
そうですね。何も顔じゃなくてもいいと思うんですが、いえ、傷をつけること自体自分勝手な行いですね。他に方法があったと思いますが。阿修羅城の瞳は観たことがありません。赤い糸に何か意味があるんですかね。
小刀を抜いたとき、老婦人はどうしたんでしょう。孫の危機に身を呈して守ろうとしたと思います。それとも月明かりで偉固の行為に気がつかなかったんでしょうか。あとで大騒ぎをして偉固を憎んだのかもしれません。この話は中国から伝わった話です。
いえいえ、既婚者でも、糸で繋がっているのは違う人かも。何度も離婚を繰り返す人は赤い糸は切れているのかもしれませんし。そう考えることは寂しいですけど。夢は持ちたいものです。
中島氏の脚本ですから(^_^;)
...強制的に「赤い糸」を相手に括りつけるという秘技というニュアンスでした♪