「わたし、これから写真を撮ってくるから。1時ごろになったら戻ってくるね」
「あ、分かりました」
ん、社長の方は用意してなかったんだ。まあ、いいか。僕はコンビニに行ってパンとおにぎり、そしてアイスコーヒーを買った。事務所に戻ると社長はいなかった。エアコンが効いて涼しい事務所で、僕はケータイのボタンを押しながら食事をした。

快適だな。静かで涼しいことがこんなに心を落ち着かせる。食事が終わると、窓の外に広がる田園風景を眺めた。一陣の風が吹いて稲穂が揺れる。それはまさしく美しい日本の風景。ぼんやりと眺めているうちに緑や青の色が薄れていく。過ぎし日のおもいで。心の奥にそっとしまったもの。自分にとって大切なもの。モノトーンの古き日々を想う。

外は猛暑だというのに事務所は爽やかな涼しさ。1時になっても社長は来ない。静かだ。本当に静かだ。遠くで蝉の声が聞こえ、ゆっくりと時が流れる。どんなにゆっくりと時が流れても僕は年をとりつづけていく。

「遅くなってごめん」
社長がドアをあけた。
「いいえ」と返事をして僕は現実に戻る。
揃えた書類を持って社長と車に乗る。自分とブレーキを踏む感覚が違うから人の運転は怖い。
「あ、信号赤」と隣で言う。
「なぜ赤なんだろうと考えていたりしてね」
意味が分からない。
警察署につくと生活安全部に向かう。

コメント

ラクス
2010年7月28日0:16

社長さんてすげー(@@)
ふつーそんな事考えないよねw

興味ある人物だぁ(^^)

かくの
2010年7月28日0:20

ラクスさんと同じ血液型です。

マンモ.ス
2010年7月28日9:56

私も自分とブレーキのタイミングが違う人の車って怖いです。以前車間距離をかなり詰める人の助手席に乗って、足に力が入ったのを覚えています。

かくの
2010年7月28日10:09

やはりそうですか。
それで僕はなるべく前をみないようにしてるんですが、気になります。
助手席でブレーキを踏む、ささやかな抵抗。

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