僕は合皮のソファーに身を沈めて、図書館で借りた小暮写真館という本をひろげていた。数分も経つと指や腕がしびれる。なにしろ、この本ときたら鉄アレーみたいに重いんだ。寝転んだ姿勢で読むなんて筋肉鍛錬をねらっているとしか思えない。大量のアドレナリンが分泌される前に、僕はあきらめて分厚い本をカウンターに置いた。
そしてソファーから立ち上がり、冷蔵庫に体当たりすると、カキ氷をとりだしガツガツと口に放り込む。冷たい氷の塊が喉に落ちていく。ふう、と僕はため息をつき、台所で空の容器を洗う。水道水をコップに注いで喉に流し込む。残りのため息は胃の奥に押し込まれる。
さて、夕飯を作るとするか。台所に立ち、鍋に湯をわかし、フライパンでもやしを炒める。水分が出ないうちに、醤油、みりん、酒を入れる。いい匂いが立ってきた。鍋に冷凍麺を入れてほぐしていると、ドアをノックする音がした。続けて「こんにちは」という女性の声もした。誰だろう。また、セールスか新聞の勧誘じゃないのか。連絡もなしに突然、僕を訪ねてくる人はいない。僕は鍋の火をとめて玄関のドアをあけた。
ドアの隙間から、笑顔の美しい女性が顔を出して、
「こんにちは!あなたは神を信じますか?」
夕暮れの風にのってメロディがきこえてくる。
え、神がどうしたって。
「あの、失礼ですけど…」
「神は、すべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます」
「どなたでしょうか?」
「神の目には、すべてが裸であり、さらけ出されています」
何を言っているのかまるで要領を得ない。
「どういった策略なんですか?」
あ、どういったご用件なんですかと言うつもりが、つい本音が出てしまった。
ふっくらした唇の片方を少し上げて、一瞬、変なやつに当たってしまったという表情をしたが、すぐに相好を崩した。
「いつも変わらずあなたを見守っております」
「興味がありません」
「では、このパンフレットをお読みください」
セクシーな女性は丁寧にお辞儀をして、ゆっくり散歩をするように去っていった。僕の心の中はやましいことでいっぱい。
台所に戻ると、鍋の麺が大変なことになっていそうな気がして、箸で突っついた。できたラーメンを食べてみた。やっぱ、麺がのびていた。
そしてソファーから立ち上がり、冷蔵庫に体当たりすると、カキ氷をとりだしガツガツと口に放り込む。冷たい氷の塊が喉に落ちていく。ふう、と僕はため息をつき、台所で空の容器を洗う。水道水をコップに注いで喉に流し込む。残りのため息は胃の奥に押し込まれる。
さて、夕飯を作るとするか。台所に立ち、鍋に湯をわかし、フライパンでもやしを炒める。水分が出ないうちに、醤油、みりん、酒を入れる。いい匂いが立ってきた。鍋に冷凍麺を入れてほぐしていると、ドアをノックする音がした。続けて「こんにちは」という女性の声もした。誰だろう。また、セールスか新聞の勧誘じゃないのか。連絡もなしに突然、僕を訪ねてくる人はいない。僕は鍋の火をとめて玄関のドアをあけた。
ドアの隙間から、笑顔の美しい女性が顔を出して、
「こんにちは!あなたは神を信じますか?」
夕暮れの風にのってメロディがきこえてくる。
え、神がどうしたって。
「あの、失礼ですけど…」
「神は、すべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます」
「どなたでしょうか?」
「神の目には、すべてが裸であり、さらけ出されています」
何を言っているのかまるで要領を得ない。
「どういった策略なんですか?」
あ、どういったご用件なんですかと言うつもりが、つい本音が出てしまった。
ふっくらした唇の片方を少し上げて、一瞬、変なやつに当たってしまったという表情をしたが、すぐに相好を崩した。
「いつも変わらずあなたを見守っております」
「興味がありません」
「では、このパンフレットをお読みください」
セクシーな女性は丁寧にお辞儀をして、ゆっくり散歩をするように去っていった。僕の心の中はやましいことでいっぱい。
台所に戻ると、鍋の麺が大変なことになっていそうな気がして、箸で突っついた。できたラーメンを食べてみた。やっぱ、麺がのびていた。
コメント
そういうの。
あたしはいつも「今忙しいんで‥‥」
と玄関を開けずに対応しています。
今度、居留守を使おうと思ってまーす。
うちも良く来ます。
割と話を聞いてあげるほうなので、脈ありと思われているようです。
まあ、このクソ熱い中自身の一円の利益にもならないのに、世の中の改善を願ってやっているのだと考えると、そう無碍にもできんのです。
自分の都合だけで押しつけるところは気遣いが必要かも。
このかくのさんの文章とても素敵です♪
具入りラー油おむすび、食べましたよ。
私的にはお味は微妙~、でしたがMはお気に入りみたいです。
やっぱり、歳の所為かしらねっ?(笑~)
おにぎり、食べていただけましたか。
ふむ、人によって好みは違うものですね。
いま、僕はラーメン作りに夢中です。