市営バスに揺られて最寄の停留所に着く。
大きいボストンバックとリュックを背負って僕は歩き始めた。
そのうしろを彼女がついてくる。
家を出る前に水を浴びたのに、もう僕は汗だくになっていた。
コンビニを右に曲がって、運送会社を左に行くと病院の看板が見えた。

自動ドアが開くと、涼しい風につつまれた。
受付で入院の手続きを済ませると、看護師に案内され病室に向かう。
エレベーターで3階に行き、ナースステーションの前を通って、突き当たりの左側が病室だった。
6人部屋で、もう彼女のネームプレートが入口に置かれていた。
ちょうど真ん中に彼女のベッドがあった。持ってきた荷物を、彼女は手際よく備え付けの家具に入れていく。

僕は丸い椅子に座って、ぼんやり眺めていた。
午前の日差しが窓から斜めに差し込んでいる。
白い壁が眩しい光に満たされていた。

急に担当医師がやってきた。
「あ、どうもこんにちは」と僕が言った。
彼女も気づいて、
「お世話になります」と医師に言った。
「ええと、明日手術をします。昨日の時点では3件の手術が入ってたんですが、5件になってしまって。ですから、順番がどうなるか分からない状態でして。夕方になったら分かると思います」
「はい、はい」
「今回の手術は前回に比べて難しいものじゃありません。でも、骨髄から鉄板を取り出すから、血がどばどば出て止まらないと思うんですよ。血を止める方法もあるんですが、異物が骨の中に入ったままになってしまうんで、今回は流しっぱなしにします」
「はあ」彼女の眼が点になっている。
「3日くらいで固まってきますから。そうですね、3週間くらいで大丈夫でしょう」
「はい。よろしくお願いします」と、彼女は頭を下げた。

彼女と少し話をして僕は帰ることにした。
どうも病室は女性ばかりで落ち着かない。
廊下に出ると、隣の病室で、ベッドに座っている東さんと眼が合った。
僕はこんにちはと言って、彼女を呼んだ。
また、積もる話があるだろう。
「じゃあ、帰るからね」と僕は病院をあとにした。

家に着いて彼女にメールした。
「着いたよ。洗濯します」
「うふっ、お昼だよ」と、返信がきた。
「「いいなー」と僕。
「でへ、ほんといいっス。涼しいし、ご飯はできてるし」と彼女。



コメント

ラッチ
2010年9月2日3:11

早くかくのさんと彼女さんがまた一緒にてんやへ行けますように(-人-)

蜜桃
2010年9月2日6:01

おはよう。
ご存知のとおり、わたしも今、病院です。涼しいし、ごはんは出てくるし、らくちんだけど、もちろん早く帰りたい(笑)。
彼女さんの手術が無事に済んで、二人で早く帰れるといいですね。
彼女さんの病院のごはんは美味しいのかな?
こちらはちょっと…(苦笑)

かくの
2010年9月2日22:13

ラッチさん、どうもありがとう。
今、食事も水もとれない状態ですが、よくなれば、どこで何を食べようか考えて、ひとりにやにやするでしょう。

かくの
2010年9月2日22:16

そうでしょう。早く帰りたくてしょうがないでしょう。
家が一番いいですよね。
入院したとき、食事が出たんですが、とくに外科は制限がないようで、うまいと言ってました。
今日は医師に会えなかったです。

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索